「育成就労制度(仮)」がどのような制度体系であるかは検討に値する。「最終報告書」によれば、これは特定技能(第1号)の資格獲得に向けた就労支援制度である。
従来、技能実習により習得できる職種/職能の産業分野は「特定技能」在留資格者に求められるものと一致していなかったが、今般においてはその整合性が図られることとなった。また、「育成就労」期間は3年間とされ、技能実習期間(最長5年間)よりも短縮される。さらに、制限はあるが期間中の転籍が認められることになる。
制度改革に向けたこれらの提言は、特定技能に従事する外国人数の増加を明確な目的としたものと見受けられる。前述の通り、国内外での批判の対象となっていた技能実習制度を撤廃することにより、我が国の外国人受け入れ制度への国際的な信用を高めることが重要な優先課題であったことには相違ないだろう。
しかし、この提言は同時に、国外からの労働力をよりスムーズな形で、安定的に確保するという雇用者側の期待を反映させたものでもあるようだ。
つまり、この「最終報告書」は、単純(非熟練)労働に従事する外国人数を増やすという政策につながる制度改正への提言でもある。
参考文献:上智大学法学部国際関係法学科教授岡部みどり著「月刊社労士2月号」2024年.社会保険労務士連合会.50-51頁。
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