会社情報の漏洩行為は懲戒解雇の事由に当たる②

お知らせ

 転職先での利用目的の情報の持出行為は、就業規則の秘密保持義務に違反する。

 S社事件.東京地方裁判所.令和五年五月二四判決

 本件は、不動産売買を目的とする会社の元従業員が、会社の営業秘密を複製、漏洩したこと等を理由として、懲戒解雇され、元従業員が会社に対して賞与、退職金などを請求した事案です。東京地裁は元従業員のデータ持出行為は転職先で利用する目的があり、自らまたは転職先の利益を図ろうとしたものであり、また、機密保持義務に違反し、懲戒事由に該当し、退職金の請求を棄却した。

 裁判所は、「元従業員には、本件持出データを何らかの形で、会社と競合する転職先で利用する目的があり、元従業員は会社の保有する情報を利用し、自らまたは転職先の利益を図ろうとしたものであり、会社の保有する情報を利用して、金銭的利益に限らず、不正に利益を得ることを禁止する就業規則条項に違反し、懲戒事由に該当する」と述べている。

 さらに財務情報などが外部に流出した場合には「会社の事業に重大な支障が出る情報であるから就業規則が定める『重大な秘密』に該当する。従って、元従業員は、これらのデータを現在では会社とは関係のない元社長に提供していたものであり、元従業員の行為は、重大な秘密の外部への漏洩に当たり、就業規則に定める秘密保持義務に違反し、懲戒事由に該当する」と述べている。

厚生労働省公認.労政協労管ニュース六月号.二〇二四年.三頁。

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