会社情報の漏洩行為は懲戒解雇の事由に当たる①

お知らせ

 転職先での利用目的の情報の持出行為は、就業規則の秘密保持義務に違反する。

 S社事件.東京地方裁判所.令和五年五月二四判決

 本件は、不動産売買を目的とする会社の元従業員が、会社の営業秘密を複製、漏洩したこと等を理由として、懲戒解雇され、元従業員が会社に対して賞与、退職金などを請求した事案です。東京地裁は元従業員のデータ持出行為は転職先で利用する目的があり、自らまたは転職先の利益を図ろうとしたものであり、また、機密保持義務に違反し、懲戒事由に該当し、退職金の請求を棄却した。

 転職する人が増えているが、競合他社への転職も少なくない。その際に注意したいのが会社に損害を与えかねない営業秘密など会社情報の持出である。不動産会社の経理部長代理の職にあった元従業員は、約8000のデータファイルを持出し、複製されたデータは会社の事業全般に関連するあらゆる情報であり、特に会社の事業の中核である不動産事業に関するデータが多く含まれていた。また、取引先の情報、顧客の情報、個別の取引に関する情報のほか、会社の財務状況に関する情報も含まれていた。

厚生労働省公認.労政協労管ニュース六月号.二〇二四年.三頁。

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