「最終報告書」の提言は、総じて抜本的な外国人労働者受け入れ制度改革を狙った野心的なものと高く評価できる。
しかしながら、まさにここに示すところの「我が国が外国人材に選ばれる国になる」という目標の実現に向けては、未だに検討されていない重要な課題がある。
「外国人の人権が保護され、労働者としての権利性」が高まり、「外国人がキャリアアップしつつ活躍できる分かりやすい仕組み」が生まれる、というだけでは「全ての人が安全安心に暮らすことができる共生社会」の実現は難しい。
今般の外国人受け入れ政策の改正の目的が「我が国が外国人人材に選ばれる国になる」ことであるとすれば、外国人受け入れ政策はまさに国策として捉えられるべきであるところ、どうもそのようにはなっていない。
国を挙げて外国人(労働者)の人権に配慮する、というだけでは全く不十分なのである。リベラル・デモクラシーを掲げるほぼ全ての欧米諸国が今日移民(外国人)をめぐる政治的課題を抱えているのは、まさにこの点が真正面から検討されなかったからである。
参考文献:上智大学法学部国際関係法学科教授岡部みどり著「月刊社労士2月号」2024年.社会保険労務士連合会.50-51頁。
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