【パワハラ】先輩従業員の言動【具体的内容】

事案の概要【T社事件　名古屋地方裁判所　令4.12.23判決】

本件は、車両の改良・メンテナンス等を請け負う会社の従業員が、先輩従業員から日常的に暴行、暴言、陰湿ないじめなどパワハラ行為を受けていたことに対し、会社に対し損害賠償を求めて提訴した事件。名古屋地裁は先輩従業員の行為についてパワハラと認定し、民法715条の使用者責任および労働契約法上の債務不履行責任に基づき、会社に損害賠償を命じた。

・具体的な内容

本件では先輩従業員が後輩の従業員に対し、作成する書類に誤りが多いことや書類作成が遅れることから、間違いを生じさせないために行うべきことを紙に書かせて、それを毎朝、他の従業員がいる前で音読させていた。

また、期限が守れなかった場合には退職するように書かせて、その後、期限が守れなかったとして退職を迫るような言動もしていた。さらに後輩従業員が名札をつけ忘れたとして名札を取り上げる、後輩従業員が使用するモニターを故意に倒して損壊し、モニターが損壊したことを会社に報告させる、謝罪のために土下座を求めるなどの行為をさせていた。

出典：厚生労働省公認.労政協労管ニュース5月号.2024.3頁。