【セクハラ】相談・調査体制を整備していても機能しなければ法的義務に反する【安全配慮義務違反】②

お知らせ

 本件は、医療法人の病院に外来受付等の事務に従事していた従業員が、勤務中に医療法人の理事長のセクシュアルハラスメント行為が不法行為に該当し、医療法人がセクハラ行為の是正について適切な対応をしなかったことが安全配慮義務違反に該当するとし、それぞれ損害賠償を求めた事件である。名古屋地裁岡崎支部は医療法人は安全配慮義務違反があると判断した(I医療法人事件.名古屋地裁岡崎支部.令5.1.16判決)。

 本件の従業員は理事長から①診断書についての説明の際、骨の部位を説明するために、従業員の二の腕を服の上から掴んだなど同様の身体接触行為が複数回あった、②患者から依頼のあった身体障害者診断の記入ができるかどうかの確認のため、理事長に声をかけたところ、従業員の方に手を回して抱き寄せた、③同僚と廊下を歩いていた際に、すれ違いざまに従業員の側面に抱き着いたー等の行為をされたと主張しました。

 裁判所は、理事長の従業員に対する行為を認め、本件従業員の意志に反する性的言動、セクハラ行為であると認定。その上で「理事長は本件従業員に対し、各行為の不法行為責任を負う」と判断しました。

出典:厚生労働省公認.労政協労管ニュース4月号.2024.3頁。

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